マクロ宇宙の観測が進むのと同じようにミクロン、サブミクロンの微小宇宙の解明もハイスピードで進んでいる。プラズマの不可思議さのとりこになった加々見は、マイクロ波プラズマに代わる表面波プラズマを応用した半導体の表面改質の実現に研究心を染めぬいている。SHINKO発→世界に向けられたプラズマ・リフロー技術が、表面加工の新たな可能性の扉を開こうとしている。

■プラズマを利用した技術にトライ 加々見丈二
 プラズマを利用した技術の一つに、ダウンフローアッシングがあります。ダウンフローアッシングとは電気的に中性で、エネルギー的には活性な酸素粒子と有機系物質(レジスト)とが熱化学反応を起こしレジストを二酸化炭素や水に変えてしまう技術です。これにより処理物上の回路素子を電気的に破壊せずに済むというメリットを生み出します。表面加工は表面加工でも、成膜とは逆にパターン化のため塗布され、不必要になったフォレジストを最終工程で剥離する技術なのです。新しい技術ゆえに試行錯誤の連続ですが、半導体業界が必要としているだけに充足感を覚えて開発にあたっています。現在、プラズマ・リフロー技術の開発を担当しています。これは、基板実装工程の一部でノンフラックスで半田付けできる世界初の技術です。
■プラズマに魅せられる
 プラズマとは、高温状態で原子が電子と陽イオンとに電離した特殊な状態ですが、固体、液体、気体と並ぶ第4の物質の状態として工業技術界の発展に欠かすことができません。自然界には太陽のコロナがプラズマです。私が注目するのはその可能性の大きさ。プラズマを技術的に転用すれば、夢のエネルギーである核融合の可能性も追求できます。プラズマをもっと身近なものにして、自在に使えるようにしたいですね。不思議で興味が尽きないプラズマのことを考えていると、スランプで悩んでいても寝る前にふっと問題解決のアイデアが浮かぶ。どんな困難なことでも、真正面から立ち向かっていくうちに、見えていなかった研究対象の思わぬ側面が見えてくることを理解できるようになりました。
■好奇心と知識欲をもって挑もう
 理系・技術系の学生はモノづくりに興味があるのは当然です。でも、大切なのは社会に出て、自分が何をいかにしたいかという目的意識です。また、これからの時代はこの技術だけ、この領域だけわかればいい、では済みません。幅広い知見、多分野の技術への関心もエンジニアには問われてきます。社会に出てからが本当の勉強です。同じ勉強をして成長を望むなら、開拓の余地を十分に残している真空技術やプラズマに挑んでみてはどうでしょう。今まで真空のシの字も知らなかったという人でも大丈夫。どんなものにも関心を示す好奇心と貪欲な知識欲があれば、あなたも神港精機でやっていけます。

トピックス
■半導体の大型化にともない誕生したSWP装置
 SWPとはSurfaceWave Plasma(表面波プラズマ)の頭文字。物質の表面を伝わるプラズマ波を利用した表面処理を行う技術のこと。従来のマイクロ波プラズマを使用した装置と異なり、スロットアンテナを採用し、マイクロ波電力を効率的に放射できるメリットをもつ。半導体業界ではシリコンウエハ径が8インチ〜12インチへと移行したため、従来のプラズマ源では対応が困難となり、大面積プラズマを発生させるプラズマ技術の開発が急がれていた。そこで開発されたのがSWPである。今後、大型基板などの表面はプラズマ処理を目標とした一層の開発が期待されている。

プロダクト
■プラズマ・リフロー炉 プラズマ・リフロー炉
 ハイブリッドIC基板やプリント基板への部品実装(はんだ付け)工程に使用される。基板の部品取り付けパターン上に、スクリーン印刷方式によりはんだペーストを印刷後、各部品を搭載してプラズマ・リフロー炉内を通過させて、より清浄なはんだ付けを行う。
■プラズマ・クリーニング装置 プラズマ・クリーニング装置
 光ディスク技術の進化にともない、DVDのスタンパ(原盤)のより高度な表面改質のニーズに対応して開発された。アッシング(有機物を燃やす)技術だけでなく、酸素プラズマ処理による表面改質を達成した「POEM」は、プラズマ・クリーニング装置のエポックといえる。

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