新素材やバイオテクノロジー、ファインセラミックといった最先端技術領域はもちろん、家電製品、食品、ファッション製品などの身のまわりのアイテムの生産に力を発揮する真空ポンプ。大学生の時、内燃機関の研究に取り組んでいた西村がそれに魅せられ、今、次代の製品を送り出す。トップメーカーならではの蓄積したノウハウをバックに、ユーザーニーズを先取る開発に終わりはない。

■立ち上げから完成まで単独で担当 西村伸弘
 神港精機の原点といえる真空ポンプの開発を担当しています。現在は油回転式のロータリーポンプの改良を行っています。油回転真空ポンプは、大気圧から0.13〜1.3×10-2Paまでの気体を圧縮して大気中に排出する経済効率性の高いポンプとして幅広い分野に使用されています。この度、食品の真空パックなどを行う包装機業界のお客様からのオーダーがあり、さらに耐久性を高める改良をすることになったのです。通常、真空ポンプの新製品の開発には量産に至るまで約2年を要します。開発のスピード化は今のトレンドですが、丈夫さと耐久性が求められる真空ポンプは、試作段階であらゆる条件出しの評価テストを行い、品質において間違いなしという太鼓判が押せるまで相当の時間をかけなければいけません。私は開発の立ち上げから量産までの全工程を一人で担当しています。一つの製品を最後まで面倒が見られるのは、神港精機のいいところだと思います。
■図面だけを描くのは嫌だった
 神港精機に入社したのは、ちょっと面白い事情からなんです。大学時代に2サイクルエンジンの排気の流れの関数化の研究をしていた私は、当然ながら内燃機関に関心がありました。やがてクルマのエンジンと真空ポンプの構造原理がよく似ていることを発見。それで真空ポンプに興味をもって入社したのです。それから製品開発のあらゆるシーンで活躍できるのも魅力でした。設計・開発に憧れてはいましたが、ずっと図面とにらめっこの就職はいやでした。エンジニアならスパナの1本でも握って現場のにおいを嗅いでいたいと 思っていましたから、神港精機の仕事環境は打ってつけでした。図面から試作までにタッチしたいと考える人には、ぜひお勧めの会社です。
■理論と技術開発の両立を図る
 真空ポンプの分野ではダウンサイジングと高機能化が進んでいます。そして、面白いことに新しい製品が開発されているにもかかわらず、理論が追いついていないという奇妙な状況にあるのが真空ポンプです。私なりに理論と技術開発のバランスを図りながら、これから求められるニュータイプの製品、たとえば油も水も使わないドライポンプなどを生み出していきたいと思っています。文明社会にあって真空技術は空気のようなもの。それだけに重要であり、無視できない技術なのです。

トピックス
■排気速度と到達圧力が生命の真空ポンプ
 一般にポンプとは、流体に圧力や速度などを加えながらこれを輸送する装置を指す。真空技術におけるポンプの場合は、これよりも広い意味が与えられる。真空装置内の気体をより高い圧力の外部へ輸送し排出する装置と、気体を外部に運び出さずに捕らえてしまう装置の2種類があるからだ。一言でいえば真空ポンプとは、気体を除去する装置と定義づけられる。真空ポンプの性能で大切な点は、ある容器中の気体をいかに短時間に除去できるか(排気速度)ということと、いかに低い圧力の状態をつくられるか(到達圧力)である。

プロダクト
■油回転真空ポンプ 油回転真空ポンプ
 耐久力に優れ、経済効率性が高く、精密産業から食品、医薬品分野まで幅広いニーズに応えている。揺動ピストン型と回転翼型の2種類がある。大気圧から0.13〜1.3×10-2Pa間での気体を圧縮して大気中に排出する。真空ポンプといえば油回転真空ポンプを指すほどメジャーな製品である。
■水封式真空ポンプ 水封式真空ポンプ
 このポンプは、ケーシング内で封液を旋回させてポンプ作用を行うため、吸入気体に含まれている水、水溶液などの凝縮性の気体、粉体に対しても故障しないという特色をもっている。そのため化学工業や半導体工業など低真空域の真空排気に広く利用されている。

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